免疫異常の疾患を持つ我々は日々押し寄せるストレスとの戦いだ。
まず発症した時点で爆弾級のストレスをくらう。
そしてその後は波のように繰り返す関節痛、発熱、ステロイドや免疫抑制剤の副作用、免疫低下による感染対策、感染症への恐怖・・・
我々の抱えるストレスのもとは書き出してもキリがない。
そしてそのストレスは病気を悪化させる。
今日はそのストレスについてと、その対策について書いていく。
病気によるストレスは、解消ではなく「排除」が大切
「ストレスは万病のもと」とはよく聞くことだが、免疫異常の疾患では、それが単なる比喩ではない。
ストレスが続くと炎症性サイトカインが増え、症状が悪化する。
ストレスが免疫異常疾患の悪化に関与することは、医学者も医学的には多分そうって言ってる。詳しく知りたい人は引用から
「ストレスは免疫系に影響を及ぼし、交感神経の活性化を通じて顆粒球・単球の増加や炎症性サイトカインの上昇を引き起こす。これは免疫異常疾患の悪化と関連があり、ストレス管理が病状コントロールの重要な要素となる可能性がある(北岡・古屋敷, 2017)。」
(こういう小難しい話の詳しいことも今後の記事で書こうと思っているが、ここではここまで)
とりあえず今言いたいことは、慢性的なストレスはとにかくよくない。
※適応的ストレス(良いストレス)もあるらしいが、ここでは慢性ストレスの話に絞る。
「病気そのものの辛さ」からくるストレスは避けられないけど、余計なストレスはできるだけ排除した方がいい。
ストレスマネジメントに関する研究では、ストレスの原因を特定し、それを取り除くことが効果的であると示されています。例えば、労働政策研究・研修機構の報告書では、労働者が自分のストレッサー(ストレスの原因)やストレス反応に気づき、それに対処するための知識や方法を身につけることが重要であると述べられています(労働政策研究・研修機構, 2007)【報告書PDF】。
また、ストレスの原因を取り除くことが、ストレス反応の軽減につながるとされています。具体的には、ストレッサーを特定し、それに対処することで、精神的・身体的な健康問題を予防できると報告されています(労働政策研究・研修機構, 2012)【報告書PDF】。参考文献:労働政策研究・研修機構 (2007). 「ストレスマネジメントと職場環境改善の関係」. 労働政策研究, 41-53. / 労働政策研究・研修機構 (2012). 「効果的なストレスマネジメント手法に関する研究」. 労働政策研究, 147-02-3.
その中でも、一番厄介なのが「対人関係のストレス」だ。
「慢性疾患や障害を持つ人々は、社会的な偏見や差別にさらされることがあり、それが心理的ストレスの要因となる可能性がある(日本教育心理学会, 2014)。」
参考文献:日本教育心理学会, 「障害者に対する潜在的態度の研究動向と展望」, 日本教育心理学会誌, 62(1), 2014.
「見た目が健康そうだから」と心無いことを言われるつらさ
病気になったからって、見た目まで病人っぽくなるとは限らない。
特に、ステロイドを飲んでると、ムーンフェイスや中心性肥満になることがある。
それに、薬が効いているうちは普段通りに仕事や日常生活を送れることもある。
そのせいで、むしろ健康そうに見えることもある。
「そんなに辛い病気なの?」
「元気そうに見えるけど、大げさじゃない?」
どうやら難病人の相場はガリガリで青い顔をしているもの、ということらしい。
とんだ言いがかりだ。
だが俺も何度も言われた。見た目で判断するな。
お前にもステロイド飲ませてやろうか?
・・・おっと失礼。ジョークジョーク。
言った本人には悪気はないんだろうけど、言われた当人としてはかなりキツい。
免疫異常の病気は、一般的な病気とは違う。それでも、同じ物差しで見られる
「熱が出る」「関節が痛む」「口内炎ができる」
たしかに、こう書くと、どれも珍しい症状じゃない。
だからこそ、多くの人はこう思う。
「私も口内炎できるよ」
「関節痛なんて、年を取れば誰でもあるでしょ?」
まて、免疫異常の病気の症状はそんな甘いものじゃない。
普通の関節痛なら、湿布を貼るなり鎮痛剤を飲むなりすれば楽になるかもしれない。
でも、免疫異常の病気の関節痛は、ロキソニンもカロナールも効かず、毎日ジワジワと痛みが続くことが大半。
一般の人の関節痛とは痛みが起こる機序が違う。
免疫異常の疾患では、一般的な病気と同じような症状があっても、その重さや発症メカニズムが異なる。
例えば、**全身性エリテマトーデス(SLE)**では、関節炎に加え、腎臓・皮膚・肺・心臓・脳・血液の細胞など多岐にわたる臓器が影響を受けるため、疲労感や脱力感、発疹、脱毛といった多様な症状を伴う【MSDマニュアル】。
また、シェーグレン症候群では、単なる乾燥症状にとどまらず、眼や口の乾燥だけでなく、関節や筋肉の痛み、極度の疲労感が主な症状として現れる【沢井製薬】。このように、免疫異常の病気による症状は、一般的な関節痛や疲労とは異なり、慢性的かつ全身的な影響を及ぼすことが特徴とされている。
口内炎も、普通なら数日で治るかもしれない。
でも、免疫異常の病気による口内炎は、何度も繰り返しできて、痛みで食事すらままならなくなることもある。
知らない人にとっては「よくある症状」に見えるかもしれない。
「ビタミン足りてないんじゃない?」
「舌噛んじゃった?」
・・・・ふぅ。書いてるだけで少しイラッとしてしまった。
でも、膠原病や免疫異常の病気の本当の苦しさは、その見た目の分かりにくさと、想像以上に過酷な症状にある。
病気をきっかけに、人の本質が見えるようになる
それだけでも十分しんどいのに、病気を持っていると、さらに厄介なことが起こる。
「腫れもの扱いされる」という現象だ。
例えば、今まで普通に話していた人が、病気のことを知った途端、態度が変わる。
- 急に距離を取られる
- 変に気を遣われて、扱いがぎこちなくなる
特に仕事で突然チームを外されたり、降格されたり、それを仕向けて裏で動いてるやつに気がついた時なんかはかなりキツい。
「この人は、表面上だけの付き合いだったのか?」
「こいつは主観だけで物事を判断して他人を傷つける人じゃないか?」
「こいつは損得で動くやつだな」
「こいつは人を利用して使えなくなったら切り捨てるタイプの人間だ」
そういうのが、だんだん見えるようになってくる。
病気を通して得た「人を見る目」
なぜ、こういうことが分かるようになったのか。
病気になると、それまでと違う態度をとる人が出てくる。
急に距離を取る人、腫れもの扱いする人、逆に変わらず支えてくれる人。
こういう経験は、なかなか普通の人生ではできない。と思う。
だからこそ、短期間で「人を見る目」が磨かれるのかもしれない。
根拠は分からない。でも、難病を持つ人と話すと共感してもらえることが多い。
きっと、多くの人が似た経験をしているからだろう。
どうにしろ、これは貴重な能力。
普通の人なら、長い時間をかけないと気づけない「人間性の本質」を、病気を通して早い段階で知ることができる。
確かに、病気を抱えることは大きなハンデかもしれない。
でも、それによって「本当に大切な人と、そうでない人を見極める力」を手に入れたとも言える。
もしかすると、これは自分を守るために備わった、防衛本能的な能力なのかもしれない。
無理な人間関係を手放し、ストレスを減らす
病気を持つことは、確かに不安や制限を生む。
でも、そこで気づいた「人の本質を見抜く力」は、決して無駄じゃない。
これからの人生で、本当に大切な人とだけ関わり不要なストレスを減らしていくことが、病気と共に生きる上で最も重要だと思う。
「ストレスを解消する」よりも、「ストレスの元を手放す」。
そう考えるだけで、少し気持ちが楽にならないだろうか?
まとめ
- 免疫異常疾患を持つと、ストレスが症状を悪化させる
- 特に、対人関係のストレスは大きな問題
- ステロイド治療による外見変化で誤解されることも多い
- 病気を通して「人を見る目」がつく
- 本当に大切な人とだけ付き合い、ストレスの元を手放すことが重要
最後に
ここからは俺の個人的な意見だが、
もし今、「人間関係で傷ついている」「病気のことで誤解されて辛い」と感じているなら、無理に誰かに合わせなくてもいい。
ストレスになる人と距離を置くことは、あなたの心と体を守る大切な選択だ。
「これは病気がくれた新しい視点なんだ」と思えたら、少しだけ気が楽になるかもしれない。
あなたの人生は、あなたのもの。
大切な人と、穏やかに過ごせる時間を大切にしよう。
それがあなたの為になる。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後距離を置くべき人の特徴や、ストレスが溜まっているかの判断方法などのテーマでの執筆を考えています。
あくまでイチ患者であり、医師や研究者などではありませんが、
私の経験や自分で勉強して為になったことをお伝えしたいと思っています。